古い言葉が変わるとき
ややこしや~ややこしや~
野村萬斎さんがそう言いながら画面に現れると、遊んでいても吸い寄せられるように集まってくるこどもたち。
わたしがこの『まちがいの狂言』の一節を初めて耳にしたのは友人宅で見たNHKの「にほんごであそぼ」という番組の中でした。
すっごい面白い!その言い回しのリズムに大人の私もいっぺんで虜になり、さらに聞いていると意味深なフレーズが続きます。
「おもてがござればうらがござる」「かげがござればひかりがござる」
さらに「うそがまことでまことがうそか」
調べればそちらも奥深くて面白いのですがそれはさておき、ややこしいという言葉について。
ややこしいの語源は「ややこ(こども)」に「しい(形容詞)」がついてこどものように扱いにくいというところから、こみいってわかりづらい、複雑で面倒といった意味になったようです。
そして古くからある言葉ですが使われ方は変わってきているのかなと。
今では結構、人間の様子や関係性にも当てはめてあの二人ややこしい、とか言ったりすると思うのですがわたしのイメージでは「ややこしい」は難しい問題や状況に使われる言葉だったような気がするのです。なので友人が3歳児を指して「こどもがほんまに今ちょうどややこしいやろ」と当時言ったのは、元の意味からまわりまわって言いえて妙だったんだなと今更思うのでした。
恥ずかしながら、いい大人ですが狂言の舞台を観に行ったことはありません。
いつかのお楽しみにとっているもののひとつですが、伝統芸能って難しそうだなと思っていた若いころとは違い、初めてでもきちんと分かるように型が設定されている、決まり事さえ知ればむしろしっかり楽しめるということぐらいは頭にあります。
そして、また「型」だ!という思い。
型があることで古い言葉を使う世代も新しい言葉を使う世代もギャップなくその世界に行ける
以前ブログで
型を学ぶというのは原理を会得することであって
型にはまる、という意味ではない
型ができるというのは応用が利くということであって
型にはまる、という意味ではない
と書きました。KaQiLa~カキラ~ではものすごく型が大事なものなので。
養成コースにお手伝いに行くと勉強しているコース生に一生懸命、型を大切に思ってもらえるように声を掛けます。
もうちょっと掘り下げて、そもそもいろいろな世界にある型ってなんでしょう?
型って英語にするとあっさりTypeと出てきます。が、しっくりきませんねえ。
もうちょっと粘って英語を探すとPrototype(原型)って出てきました。
最近よく使われる言葉ではデフォっていうのがありますがDefaultパソコン用語の初期値という意味から標準、とか当たり前みたいな意味まで含めるのかな。
と、うろうろ考えて、型ってやっぱり原理原則だけでなく、マナーとか、その世界の当り前とかまで含む言葉じゃないかなと思います。
老若男女、運動の得意な人も不得意な人もひとつひとつ習得することができるのが型ではないでしょうか。
型を学べば安心してその世界へ飛び込んでいけるもの、と考えると学びが楽しくなってきます。
そして型にはまるのかどうかについては、亡くなられた歌舞伎役者の中村勘三郎さんがお好きな言葉だったことは後に知りましたが、
「型があるから型破り、型のないのは形無し」という言葉が表しているのかなと。
型破りは、普通考えつかないような新しいことを思いついたりやったりすることですが、しっかり型が身についていることが前提のことばです。それに対して、形無しは本来の価値が損なわれ、何の役目もしないことを表すのです。
個性や独自路線を走りたい、またはいちいちめんどくさいと思って型をおろそかにすると、結局思いがけない遠回りになるのかなと思います。
KaQiLa~カキラ~の型 古い言葉でも新しい言葉でも表現できる
KaQiLa~カキラ~の型は、今何百種類まで派生したのでしょう!
数えきれない(笑)
でも基本の二つの型だけは、初心者の方にもベテランの方にもしっかりマスターしてもらいます。そして、たいがいその二つはどの型にも入っています。
カキラーの皆さん、天と地をつなぐ型、羽をひらく型お願いします。
めちゃめちゃ大事な奥義なのに、大盤振る舞いであっさりこの本の32Pと34Pに載ってるんですけどね。
この二つができたらもう無敵です。
カキラーの皆さんはどこに意識を持って呼吸されていますか?
コツはいくつかあります。
ひとつは指の使い方。中指と小指を意識することで安全に狙い通りに、とあるところが動きます。インストラクションをよく聞いてくださいね。
もうひとつ、頑張って背中を張るようにや胸を反らせたりせず、吸うときは細く長くじっくり身体の中で風船を膨らませるように、が大切です。
今使っている言葉もいつかは古い言葉になる日があって、レッスンに参加している方にとっては、すでに古い言葉に聞こえるフレーズもあったりしながら、通じ合う、伝わるように選んでいく難しさ面白さ。
またベテランのカキラーさんにとっては耳慣れない指示もインストラクションに含まれることがあるかもわかりません。それらは安全に動いていただく新しい発想を込めた言葉だったりします。原理原則は変わらないけれど、次々と新しい言葉で紡ぎだされる表現を楽しみながらレッスンを受けていただけたら嬉しいです。
表現する方になってみたいと思ったら、9月から始まる養成コースについて是非お問い合わせくださいね!
本日も最後までお読みくださりありがとうございました。
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