夜明けは遅く、日暮れが早くなりました。
朝夕は思わず肩をすくめてしまうほど冷え込むようになりましたが、
あなたの体調はいかがでしょうか。
深い呼吸、していますか?
訪問してくださり、ありがとうございます。
毎月第1・第3木曜日と、奇数月の第5木曜日を担当している、広島県在住のChieです。
10月は「骨髄バンク推進月間」です。
今回は、「骨髄移植の現状」について知ることができるきっかけになれば、との思いでお伝えします。
骨髄はどこにあるの?
骨の基本構造
骨髄は、骨の中にあります。
骨は、骨膜、骨質、骨髄、軟骨質で構成されています。
●骨膜…軟骨と筋の付着部分を除いて、骨表面を覆う膜のこと。感覚神経や血管が分布しています。
つまずいたり、どこかにぶつけたりして、脛(すね)の骨(脛骨)に衝撃を受けると、声が出ないくらい痛みますよね。
まさに「弁慶の泣きどころ」。
その痛みを感じているのは、骨そのものではなく、感覚神経がある骨膜です。
骨膜の働きは、骨の太さの成長へのかかわりと、再生(骨折の修復)。
●骨質…骨質には、骨の表層を構成する「緻密質」と、内部の「海綿質」があります。
海綿質は、その名のとおり海綿のように見える部分。この中は骨髄で満たされています。
●骨髄…骨の中にあり、造血機能を担っている組織のこと。
「赤色骨髄」と「黄色骨髄」の2種類があります。
発育期の骨髄は、造血機能が盛んな赤色骨髄ですが、年齢とともに、脂肪組織に置き換わった黄色骨髄になります。
●軟骨質…骨と骨が接している関節面には「関節軟骨」があります。
成長している骨と骨端の間には「骨端軟骨」があり、骨の長さの成長にかかわっています。
血液は骨の中の骨髄で造られている
骨髄の中で血液を造る働きをしているのが造血幹細胞。
骨髄で血液細胞(体中に酸素を運ぶ赤血球・外から侵入してくる病原体と闘う白血球・出血を止める血小板など)が造られています。
造血幹細胞が働かなくなると正常に血液が造られなくなり、体に不調が現れます。
血液に関する過去記事です↓
血液の病気を治すには
血液の病気を治すために行われているのが、健康な造血幹細胞の移植。
移植には、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、さい帯移植の3種類があります。
骨髄移植について詳しくはこちらに↓
骨髄は骨の内部に存在するスポンジ状の組織で、その中に多くの造血幹細胞(白血球・赤血球・血小板のもとになる細胞)が含まれています。骨髄移植はドナーに全身麻酔をして注射器で骨髄液を吸引し、採取した骨髄液を患者の静脈へ点滴で注入する治療法です。太い神経であるせき髄に針を刺すことはありません。
骨髄バンク・さい帯血バンク ポータルサイト 造血幹細胞移植情報サービス
ドナー登録用パンフレット「チャンス」(1-4)より引用
ドナー登録には条件がある
・骨髄・末梢血幹細胞細胞の提供の内容を十分に理解している人
・年齢が18歳以上、54歳以下で健康な人
・体重が男性45kg以上/女性40kg以上の人
患者さんとドナーをつなぐのが骨髄バンク
ドナー登録者を募り、骨髄・末梢血幹細胞移植を必要とする患者さんが、移植を受ける機会を確保できるように活動している「骨髄バンク」。
公益財団法人日本骨髄バンクが主体となり、日本赤十字社と都道府県などの協力によって行われている公的事業です。
骨髄バンク登録状況
ドナー登録者現在数は528,586人
骨髄バンクは1991(平成3)年に発足し、29年になります。
2020年8月31日現在、ドナー登録している人は全国で528,586人。
適合ドナーをさがしている、あるいはコーディネート中の患者さんは、1,856人。
2020年8月の1カ月での移植件数は79人(骨髄提供60人、末梢血幹細胞19人)。
HLA型(※)の適合したドナー候補者が見つかった患者さんの数は、47,677人。
骨髄バンクを介した移植実施数は、24,632人。
※HLA型とは
赤血球にA・B・O・ABの血液型があるように、白血球にも型があります。HLA型といわれるこの型は、ヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen)の略で、その組み合わせには数万通りあります。骨髄または末梢血幹細胞移植のためには、HLA型のうち、A座、B座、C座、DR座の4座の適合度を確認することが必要です。その適合具合によってはGVHD(移植片対宿主病)や拒絶反応などの合併症によって移植の成功率が低くなります。
骨髄バンク・さい帯血バンク ポータルサイト 造血幹細胞移植情報サービス
ドナー登録用パンフレット「チャンス」(1-5)より引用
現在、ドナー登録者の多くは40代
さらに、今のドナー登録者の多くは40代。
なんと全体の約42%を占めています。
ドナー登録ができるのは54歳まで。
ドナー提供ができるのは、55歳まで。
若い人の登録が求められているのが現状です。
造血幹細胞移植情報サービスへ↓
ドナー登録者の累計総数836,131人
1991年(平成3年)骨髄バンク発足時から集計時点までのドナー登録者の累計総数は836,131人。私もこの中の1人です。今から20年以上前に登録しました。
きっかけは、教え子が白血病で旅立ったことです(私は若かりし頃、幼稚園に勤めていました)。
命がつながることを祈りつつ、彼女は十代の小さな体で骨髄移植を受けたものの、健康を取り戻すことは、かなわなかったのです。
私は、骨髄移植を受けても必ず元気になる保証はない現実を知りました。
それでも患者さんは生への望みをかけて、病気の体に大きな負担を伴う骨髄移植を受けること。
もし自分の骨髄が患者さんと適合したら、全身麻酔をかけ、骨盤の後ろ側の骨(腸骨)に針を刺し、骨髄液を吸引する医療行為を受けること。
それは「絶対安全」ではないリスクを伴うこと…など、骨髄バンクや骨髄移植について調べて、知った上で、骨髄バンクへの登録を決断しました。
もし、自分や自分の家族が移植が必要になるときが来るかもしれないことを想像したら。
誰かの命を、自分の体が助けることができるなら。
命をつなぐ役目を果たせたら。
その思いに突き動かされて登録しました。
それからというもの、自分の体に責任を持たなくては、との意識が高まったのです。
いつ、声がかかっても大丈夫なように、自分自身の体調を万全に整えておこう、と。
結果的には、一度も患者さんと適合することなく55歳の誕生日を迎え、私は年齢超過によって登録を終えました。
けれど、命も体も健康も、自分のものだけではない、かけがえのないものだということを、身をもって考える大きなきっかけとなっています。
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